*・゜゚・*:.。..。.:*・゜ 最終勧告 *・゜゚・*:.。..。.:*・゜ |
朽木ルキアの編入から一週間。
彼女もようやくクラスに馴染んできていた。
「おっはよーう!朽木さん。これ、会長から朽木さんにって」
同級生の井上織姫は学内アルバイトとして学園デリバリーをやっている。
食券と引き替えで、いつでもどこでも手の空いている時に人から人へ、何でもお届けしちゃうのだ。
広い学内において、それはちょっとした名物であると同時に、生徒だけではなく教師からも重宝されていた。
その代わり、彼女は自転車で校内を走る事を許されている。
今日も彼女は愛用のママチャリに乗って、登校途中のルキアにお届け物を渡しに来た。
「市丸が?」
訝しみつつ受け取った手紙は、白地にピンクのハートシールで留められた、古典的なラブレター仕様だった。
「ぅわお、朽木さん、市丸会長から愛の告白?」
「いや、どうやら内容は違う」
ちょっと天然の織姫を軽くあしらい、ルキアは内容を確かめる。
そこには短く、『藍染副理事からの呼び出しは無視して、生徒会室に来ること』と書かれていた。
ルキアにその真意は掴めなかったものの、敬愛する白哉兄様の信頼する市丸からの忠告は従う事にした。
果たして藍染副理事という男からの呼び出しは放課後にやってきた。
「朽木さん、ちょっと良いかな。副理事が君を呼んでいるんだ。今すぐ応接室の方へ行ってくれないか」
神経質が服を着て歩いているような印象を受ける同級生、石田雨竜がそう言った。
ルキアは「ああ」と答えて教室を出た。
その後を雨竜が付いてくる。
「お前も一緒に呼び出されたのか? 石田」
ルキアが訊ねると、石田は眼鏡を直しながら、む、として首を振った。
「いや。君を案内するよう頼まれたんだ」
「そうか。それならちょっと寄り道をするぞ」
ルキアが突然進行方向を変えたので、雨竜も焦って付いてきた。
「朽木さん、僕は今すぐと言ったはずだけど」
「なに、副理事よりも先に私を呼び出した奴がいるんだ。やはり優先順位は早い者勝ちだからな」
ルキアは雨竜を一瞥する事もなく、ずかずかと生徒会室に歩いた。
「私だ。入るぞ」
それでも一応中の返事を待つ。
前回の経験が突然ドアを開ける事を留めさせた。
「はい。どうぞ」
市丸の物ではない返事にドアを開いた。
右最奥の窓を背に設えた会長仕様の事務机、その左隣に並んだ小さめの机に副会長、吉良イヅルが笑顔で座っていた。
そしてそれらの事務机の手前、シンプルな応接セットには会計部長、日番谷冬獅郎とその補佐、松本乱菊が座っている。
部屋の主の片割れであるはずの市丸の姿はなかった。
「良く来たな、朽木ルキア。取り敢えず座れ」
会計部長の日番谷が、当然のようにルキアに命令した。
雨竜は困惑を隠せないまま暫くその場に立っていたが、「なぁにしてんのよ。アンタも座んなさい」と乱菊に促され、暫く悩んだ末、ソファに腰を落ち着けた。
その頃、市丸は応接室で藍染と対峙していた。
「やぁ、市丸君。何の用だろう。これから人が来る予定でね」
後ろ手にドアを閉めた市丸は、貼り付いた笑顔のまま藍染に詰め寄る。
そして一歩手前という近距離で藍染と向き合うと、
「客は来ぉへんよ」
いきなり藍染の股間を蹴った。
あまりの事に声もなく踞る藍染。
それを愉しげに見下ろして、市丸は更に藍染の肩を蹴った。
床に転がった彼を見て、市丸は裂けた口で嗤う。
「あかんなぁ、藍染はん。ボク見下ろされるん嫌いやってちゃんと教えたったやろ? 学習能力ないと痛い目見るんは自分やって分かってる?」
「っ……すまない。そういうつもりじゃ」
途端にへりくだる藍染に、しかし市丸は容赦がない。
股間を押さえる彼の手を蹴り退かせると、更にそこを踏みつけた。
「ぅぐっ」
藍染の口からくぐもった声が漏れた。
「言い訳は見苦しなぁ。いつからそんな悪い子ぉになったんや。それともボクにお仕置きして欲しぃてそないなこと言うんやろか」
喋る間も足の力は緩めない。
藍染は眉根を寄せて苦しげに市丸を見ているが、その瞳は恍惚としている。
悦んでいるのだ。
「言ぅてみぃ。お仕置きして下さいって」
「ぅ……ぉ仕置きして下さぃ」
「はぁ? よぅ聞こえんなぁ」
「お、お仕置きをして下さい。市丸様」
市丸がニタリと嗤う。
その表情に鳥肌を立てながら、藍染は喜びに震えた。
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えぇっと……マゾ受藍染はやっぱり引かれましたでしょうか……ちーん